AIに「お店のホームページを作って」と頼んだら、「静的サイト」「動的サイト」「Cloudflare」「Vercel」という言葉が出てきた。どれを選べばいいのか、迷いますよね。

まず、静的・動的は「ページや機能の作り方」、Cloudflare・Vercelは「公開と運用を支えるサービス」と分けて考えましょう。

比べていること選択肢
ページをいつ用意し、どこで処理する?静的・動的・その組み合わせ
どのサービスで公開・運用する?Cloudflare・Vercelなど

「静的とVercel、どちらにする?」と並べると、料理の作り方とお店を同時に選んでいるような状態になります。2つの軸を整理すると、選びやすくなります。

左は先に用意した案内を渡す静的サイトの例え、右はその場で予約を確認する動的サイトの例え
左:案内を先に用意して渡す。右:その場で予約を確認する。説明用にAI生成した概念図です。

1. 静的サイトは「先に用意した案内を渡す」

お店の営業時間やアクセスを載せた案内カードを想像してください。あらかじめ作っておけば、来た人にすぐ渡せます。

静的サイトも似ています。HTMLや画像などのファイルを先に用意し、アクセスした人へ届けます。HTMLは、ページの文章や構造を記したファイルです。直接書く場合もあれば、記事データからページをまとめて生成する場合もあります。この生成作業を「ビルド」と呼びます。

会社紹介、商品紹介、ブログ記事など、同じ内容を多くの人に届けるページで使いやすい方法です。表示のたびにサーバーで本文を組み立てる処理を減らせます。ただし、実際の表示速度は画像の重さなどにも左右されます。Next.js公式:Static Site Generation

「静的」でも更新できるし、画面も動く

営業時間が変われば、内容を直して再公開できます。CMSという記事管理の仕組みで文章を編集し、ページを作り直す運用もできます。

メニューを開く、写真を切り替える、入力した金額を計算する。こうした操作は、ブラウザ側のJavaScriptでも実現できます。アニメーションがあるかどうかで、静的・動的を判断するわけではありません。

2. 動的サイトは「注文に応じて処理する」

飲食店で注文を受けてから、内容に合わせて料理を用意する。こちらが動的な処理のイメージです。

サイトでは、アクセスや入力に応じてサーバーが処理し、ページやデータを返します。サーバーとは、ネットワーク越しに情報や処理結果を提供する側のコンピューターです。たとえば、「この日の予約枠は空いている?」「ログインした自分の注文はどうなっている?」という問い合わせに応えます。Vercel公式:Functions

予約状況、会員ページ、注文処理など、その時点のデータや利用者に応じた結果を扱う部分で役立ちます。その分、データの保存、ログインの管理、入力の確認なども設計する必要があります。

なお、動的でも処理結果を一時保存して再利用できます。これを「キャッシュ」と呼びます。毎回すべてをゼロから作るとは限りません。Vercel公式:CDN Cache

3. お店のサイトなら、組み合わせて作れる

お店の案内は先に用意したページ、写真の切り替えはブラウザ、予約の確定はサーバーで処理する組み合わせ図
ページ単位・機能単位で、役割を分けられます。

袋井のお店のサイトを例にしてみましょう。

静的なページを表示した後に、ブラウザからサーバーへ空き状況を問い合わせることもできます。そのやり取りの窓口が「API」です。画面の土台が静的でも、予約機能には動的な処理を使えます。Next.js公式:Client-side Rendering

このように静的な配信と動的な処理を組み合わせる構成を、ハイブリッドと呼びます。サイト全体を一方の種類に決める必要はありません。Next.js公式:Rendering

4. CloudflareとVercelは、公開・運用のサービス

ここからは、サイトをどこで公開し、どう運用するかの話です。CloudflareもVercelも、静的な配信と動的な処理の両方に対応しています。

見るポイントCloudflareVercel
特徴を理解する入口配信・ネットワーク・保護から考えるアプリの開発・ビルド・公開から考える
静的な配信Workers Static Assets、Pages静的ファイルや事前生成したページを配信
動的な処理Workers、Pages FunctionsVercel Functions
開発とのつながりWorkersでAPIやアプリを構築。各種フレームワークにも対応Next.jsなどとの連携、変更ごとのプレビュー

Cloudflare:配信と保護から全体を考える

Cloudflareは世界各地のネットワークを使った配信やCDN、サイト・APIを保護するWAFなどを提供しています。CDNはコンテンツを複数の場所から届ける仕組み、WAFはWebへの通信をルールに基づいて検査する仕組みです。Cloudflare公式:Cache / CDN、WAF

さらにWorkersでは、サーバー側のコードを実行できます。Static Assetsと組み合わせれば、ページの配信とAPIの処理を一緒に扱えます。Cloudflare公式:Static Assets

2026年10月時点で、Cloudflare公式は新規プロジェクトにWorkersを推奨しています。Pagesも提供されており、Pages Functionsでサーバー側の処理を追加できます。新しく作るときは、Cloudflare内でも使う製品と対応範囲を確認しましょう。Cloudflare公式:Pages、Pages Functions

Vercel:開発から公開までの流れを考える

Vercelは、コードをビルドして公開し、変更をプレビューで確認する流れや、Next.jsなどのフレームワークとの連携が理解しやすい入口です。フレームワークは、アプリを作るための共通の仕組みや道具のセットです。Vercel公式:Frameworks

対応するフレームワークと連携して、事前生成したページやサーバーで生成するページを扱えます。Vercel FunctionsでAPIなどの処理も実行できます。Vercel公式:Functions

VercelにもCDNやセキュリティ機能があります。上の表は両社の特徴を理解するための入口で、機能が片方にしかないという分類ではありません。Vercel公式:CDN、Security

5. 選ぶ順番は「何をしたいか」から

初心者の方は、サービス名を先に決めるより、必要な機能を順に整理してみてください。

  1. 何を載せる? お店の紹介やブログが中心なら、静的な配信を土台にできます。
  2. 何を処理する? 予約・会員・注文が必要なら、動的な処理とデータ保存が必要な部分を決めます。
  3. 誰が更新する? 自分でファイルを直すのか、管理画面で編集したいのかを決めます。
  4. どこで運用する? 作成に使った仕組みとの相性、料金・制限、商用利用の条件、管理のしやすさを比べます。

Next.jsで作ったアプリなら、その機能が公開先でどう動くかを確認します。すでにドメインや配信の設定を運用しているなら、そこへつなぎやすいことも判断材料です。

料金や制限は、プラン・機能・利用量で変わります。無料枠の有無だけで決めず、必要な処理や利用条件まで確認しましょう。

まずは、お店の案内と予約を分けて考えよう

静的は、先に用意したものを届ける。
動的は、アクセスや入力に応じて処理する。

CloudflareとVercelは、それを公開・運用するサービス。どちらも静的・動的に対応します。

「お店の案内は先に用意。予約だけ、その時に処理する」。このくらい身近な言葉で必要なものを整理してから、公開先を選ぶと迷いにくくなります。

一次出典・確認先

以下は2026年10月2日に確認した公式資料です。製品の機能や条件は更新されます。

  1. Next.js:Static Site Generation、Client-side Rendering、Rendering
  2. Cloudflare Workers:Static Assets、Cloudflare Pages、Pages Functions
  3. Cloudflare:Cache / CDN、WAF
  4. Vercel:Frameworks、Functions
  5. Vercel:CDN、Security、CDN Cache